いつかはエイジシューターになる

三文文士がエイジシュートを目指すブログです。

文士のゴルフ

    敬愛している小林秀雄は、じつは大のゴルフ好きだったという。
 

 朝起きるとまずは、新聞五紙を読み終え、庭にあったゴルフゲージ(昔はよくお金持ちの家にあった)で、200球前後打つことを日課にしていたという。
 

 それぐらい、ゴルフに夢中になっていたらしい。ただし、競技ゴルフの方には興味を示さず、ただ、文士仲間とガヤガヤやる、今で言うエンジョイゴルフが主だったらしい。
 

 残っている、スイング中の写真(バックスイング時)を見ると、さながらベンホーガン並のきれいなフォームをしている。

 もっと小林秀雄とゴルフについて知りたくて、いろいろ文献をあさってみたが、小林秀雄のハンディキャップとか、平均スコアなどまったく残っていないので推測するしかないが、かなり上手だったとは思う。
 

 ただし、エンジョイゴルフとはいえ、一緒に回るのが一癖二癖もある文士たち。

 彼らは当然ながら言葉が達者なので、それこそ誰かがミスをしたり、逆にいいショットをされたりすると、いい機会を見つけたとばかり、思いつくままに毀誉褒貶、罵詈雑言。悪口や、褒め殺しの応酬。

 ついていたキャディが、いまに殴り合いの大げんかが始まると思ってヒヤヒヤしていたという。
 

 おそらく、文士ゴルフというのは、もちろんゴルフそのものの楽しさもあるが、こうやって心置きなく、思いついた言葉を好きなだけ発せられるのが楽しかったのだ気がする。
 同時に、かつてその昔、文壇ゴルフというのがあって、出版社主催のコンペとかがあると、プライベートのエンジョイゴルフとはうって違って、静まりかえり、しんとした雰囲気の中に、密やかな殺意すら漂っていたという。
 

 ただの三文文士の自分は、未だ小説を書く人とゴルフをしたことがないので、これも聞いた話しでしかないが、しずかな殺意が漂うというのは何となく想像がつく。もともと文士とは言葉を使って殺し合いをする生き物だから。
 

 かつて、石原慎太郎が、文壇のゴルフのコンペで、「いかにも、そのイメージからゴルフをやってはいけないような物書きが参加しているが、商売的にいかがなもんか」と苦言を呈してることを、何かの記事で読んだことがあるが、なんとなく権威や権力に刃向かう小説家というのは、もともとゴルフとは真逆なイメージがあるのは否めない。とく破滅型の私小説作家だと。
 

 もし、最近芥川賞を受賞された安堂ホセさん(おめでとうございます。)とかが、もしゴルフを毎日やっていると聞いたら、やっぱりイメージが違うなあって思ってしまうだろう。

 この印象の理由や、イメージについて、ゴルフに限らず、文学とスポーツの関係というものは、もっと深掘りしてみたいと思っている。
  
 〝 文学で ゴルフを語る 難しさ 〟

結局 私のような、貧乏キャロウェイマニア御用達のゴルフボール。イエローを愛している。