ただ、題名に惹かれて手に取った。
禅に傾倒(というかライフワーク)、さらにはゴルフ好き。これが二つが重なっているとなると、読まない手はない。
というわけで、わざわざ新刊を買ってまで読んだ。本の帯には、ビジェイ・シン、レッド・ベター、等々懐かしい人たちの推薦文が並んでいる。
なるほど、いかにも禅に興味が惹かれそうな面々(特にビジェイ・シン)である。
しかし、日頃から道元の「正法眼蔵」を愛読し、「鈴木大拙全集」読み返している自分としては、この本を読み終えた感想としては、たしかに禅とは謳われていても、どこか禅というよりも、老子や荘子の話に近く感じた。
いっとき、外国では、「禅」と名がつけば、こうした本だけではなく、食べ物も、洋服も、売れたという。しかし、はっきりいって、この本で書かれているのは禅の真髄からはほど遠いものだった。
どちらかというと、メンタルトレーニングと心理学をミックスしたものに、老荘思想を振りかけて、禅のパッケージをかぶせたような・・・。
もちろん、翻訳までされているのだから、発刊当初はかなり売れた本らしく、よく書かれてはいる。
禅の真髄とはあまり関係ないんだと割り切って読めば、ゴルフにおいてはそれなりに有用で、コースでのメンタルコントロールの保ち方には役立ちそうだが、それは、ビジェイ・シンのような一流選手に対してであり、日によっては酔っ払って100前後で回っているようなへぼゴルファーには、あまり役に立たないような気がする。
反対に、どこまで一打にこだわりたい、競技会に出たい人や、一打の差で順位や、プロのように何千万、何億と変わっていくよう勝負するようなシビアな世界の人には、読んで損はないと思う。
ゴルフはメンタルスポーツと言われているが、これもメンタルの強さの話以前の人(わたしのように、おののきおろおろしがちな人)には、あまり役に立たないかもしれない。
だから、この本は禅ゴルフという題名だが、ゴルフ以外の何か難しい試験みたいなものに望もうとする人には、心構えとして役に立つ部分は多いと思う。
過去において、OBや、おしいパットを外したとき、思わず激高してゴルフクラブを地面にたたきつけたり、投げたりして、感情を乱してスコアを台無しにしがちな人。さらにはそうした感情の爆発で同伴者に迷惑をかけたことがある人は、ぜひ読んで欲しいと思う。
〝 禅と呼ぶ ゴルフの世界は 遠くにて 〟