先回書いた、史上最悪のゴルファーとともにコースへ。
本当に快晴で、まさにゴルフ日和。
一緒に行った同伴者も、ゴルフ場までの快適なドライブが続きハイテンション。
この助手席に座る史上最悪のゴルファー、まだまだ初心者に毛が生えたレベルなのだが、まさにコースに出ても、練習場と同じく、怒り、叫び、泣きわめく。
スタート直後ティーショットをチョロしたとたん、いきなりスイッチが入る(というか出現する)。
「もう嫌だ」、「帰っていい?」、「ゴルフ向いてない」等々。顔を真っ赤にして、まるでミスさせたのが、私のせいかのようににらみつけてくる。
それは、数年前のコース初デビューの日だった。二ホール目で、アプローチが飛びすぎて、グリーンを飛び越えて対岸のバンカーへ。
ついに、手にしたクラブで地面をたたき、遠方に投げ捨てる。
それを見たとたん、いかに温厚な私でもたしなめるしかなかった。
「君はたぶん、今日日本で回っているゴルファーの中で、一番最悪どころか、史上最悪のゴルファー」だと。
さすがに反省したのか、その後は借りてきた猫のようになってしまった。口にするのは、「昼ご飯何を食べよう」、「それしか楽しみがない」、別の意味でブツブツと。
そんなわけで、その知り合いは、その日から私の中で「史上最悪のゴルファー」と名付けられた。
そして、この日、半年ぶりに、一緒にコースを回ったのだが、ミスしていつあの史上最悪のゴルファーが現れるかとヒヤヒヤしていたが、なぜかゴルフをやっていないときの、朗らかで陽気でナイスキャラのまま。
スタート直後で二桁叩いても、怒らず、八つ当たりせず、殊勝な顔をしてひとり反省している。
「どうしたの?」逆に心配になってきたわたしが訊ねると、
「ゴルフって、自分との闘いってわかったんだ」と、どこか悟ったような返答。
「感情が出るということは、自分と折り合いがついてない証拠。それは、つまり自分をわかっていなかったから。ゴルフの上達はまずは、自分を知ることだった」と説明してくれた。
わたしは、「なるほど」と言いながら、とにかく自分のプレイに集中したかったので、適当に相づちを打っていた。でも、その通りだった。
ゴルフって不思議なもので、この史上最悪のゴルファーは別格として、ゴルフが上達してくると、どんな人も、感情の制御も上手くなっていく。
いつまでもミスショットして、いちいち、「くそ」とか、「ちぃ」とか、悪態をついている人は、あまり上手くならない気がする。
というわけで、無事何とかホールアウトできたが、スコアは107。前半57、後半50。
これでは、エイジシューターを達成するには、107歳まで生きなくてはならないのだが、収穫はあった。
チッパーが大活躍した。わずか三回しか使わなかったが、いずれもベタピン。
「邪道だ」と言っていた同伴者も、これにはびっくりして、欲しそうな顔になっていた。
そして、後半50で回れたのは、何よりもあの「史上最悪のゴルファー」が現れなかったことに尽きる。
お願いだから、もう、二度と現れてこないでくれ・・・。
“ いいショット 打てた後に 風薫り ”